駆けつけ三打席連続ホームラン

 

バーテンダーやめたのは去年の夏だったけど、

大阪に出てきた今でもひとりでバーに行ったりはしてる。

好きで割としょっちゅう行ってる。

 

バーに行く女、ってなんかスタイリッシュで妖艶なイメージするじゃん?

愛に渇いた女がネオン街に消えてく、みたいな?

紅く潤んだルージュと同じ色のヒールを鳴らす、みたいな?

知らんけども。

バーに行く女をイメージするひとのイメージをイメージして言ってるけども。

元手ゼロで無から有、生み出してるけども。

 

まぁ、これがもう全然そんなんじゃないわけで。

 

何ってガチだけぇ。

 

どんだけ気分よく美味い酒飲むかに賭けとるけぇなんだ。

こっちもいちバーテンダーとしての矜持を持って臨む。臨んじゃう。

その反面、当然、愛は渇きっぱなし。

麦もホップも枯れ果てて畑の跡地に立体駐車場が建つくらいの干ばつ具合。

もうスーパードライ級。なんなら愛の乾き物をアテで一杯やりたいくらいだ。

肝臓が潤っとりゃえーだけ。

 

そんなこんなで彼氏いない歴が現在もなお驚異的な飛距離を見せてる。

見せてる、ってかもう体感的には、魅せられちゃってるなー。

球場のバックスクリーンを越えて、ついでに半年をも超えちった特大場外ホームラン。

 

今となっては誰だよあんな高く打ち上げたの、って感じ。 

かっとばしたもんよなー。

もう、他人事。

 

だって自覚がないんだもん!

 

半年っていう実感、ないんだもの!

 

そんな強く打ちましたかね?!どんなバッティングしたら半年も彼氏できねぇんだ?!

ちょっとネオン御嬢を気絶させるつもりが、グルドの首を平気で刎ね飛ばす威力のフルスイング。 

惑星ベジータの球団からフィーチャーされるんじゃないの。

ついにサイヤ人のおめがねに適うほどの怪物スラッガーになってしまったんじゃないの。 

 

強打者すぎる自分にビビる。なんだこの腕力。なんだこの怪物級のモテなさ。

自分の内なる秘めた才能に気づく、なんかの漫画の第一話みたいな気分。

もう絶対ラブコメじゃねーじゃんそんなん。

どっちかってーとバトルアクションのマストアイテムじゃん。腕力。

ヒロインじゃなくてモテない主人公のほうじゃん。

絶対フレンドでもマーガレットでもなく少年チャンピオン

ジャンプで扱うには勝利から遠すぎますがな。

 

でも、出会いがなかったわけじゃないだー。

それが一番しんどいとこ。腐ってもキャバ嬢。いろいろある。

店に押し寄せる魑魅魍魎、おじさんが織り成す百鬼夜行。いろいろある。

 

他にも、最たる例で言えば合コンに連れ出されたり、とかく異性と接する機会は多かった。

というか雑感としては、いろんな魔と行き遭ったって感じ。鬼門大阪。

もう次々に遭遇する魔をエンジョイできるほど心にキャパシティないわけ。

もうなぁ、語り出したら止まらんしこのへんは割愛しとく。無い愛を割いとく。

 

オーケーオーケー。

もうよろしい。

 

今までのことは水に流そ。一回流そ。左中間に流し打ちしよ。

結局、問題はこっからどうするかだしなぁー。

 

この御歳でこの半年間、いかなる彼氏とも相見えることはなかったけど、

でもこのままじゃ、どう転んでも幸薄げな未来しか待ってないだろうに。

不良債権まっしぐらだろうに。

 

酒を捨て立ち上がるのだ!

思い込んだら試練の道を!

勝利の凱歌をあげるまで!

目指せ野球選手と玉の輿!

 

延長18回、クロスプレーを制し、ビールかけで浴びるほど飲むのは、この俺だ!!