ゴミをポイポイポイポイ捨てるのやめろ

 

おーい、ちょっとそこの!右手にペットボトル持って歩いてるお兄さん。

その空になったペットボトルね、それ、どうすんの?

片手塞がってるとさ、いろいろ不便じゃない?

やっぱさぁー、どっかに捨てたいよね。

そのペットボトルを捨てずして、この夏は楽しめないよね。

 

あっ、ほら15m先、みて!

路肩にゴミ箱あるよね。

なんかもう、外野手としてセンターに据えたいくらいでっかいゴミ箱あるよね。

どこか福本豊の面影を感じるくらい守備率高そうなゴミ箱あるよね。

だからあそこにさ、それ、捨ててきなって。すぐ済むことじゃん。

 

…って、あれれ??

いつの間にか持ってなくない?

えっ、さっきのペットボトルどこやったの?

外野手相手に、消える魔球とかお見舞いしちゃった?

 

いや、これはまさか…?

あーあ。やっちまったよ。

ポイ捨てしちゃったよ。

 

ゴミ箱があるにもかかわらず5m手前で、ポイ捨てー。

世界はそれをポイ捨てと呼ぶんだぜー。

つってね、ポイ捨てとかする奴、ほんと、最悪だから。

お天道様の下を歩く資格、ねーから。衛星軌道上にいる資格、ねーから。

 

わたしは自分の中で、外歩いてるときに1秒以上目が合ったゴミは拾って、

ちゃんとしたとこに捨てるっつールールを作ってるんだけど。

このキャッチアンドリリース活動を通して、

ささやかながら環境問題に警鐘を鳴らしてるわけ。わたしなりのベルマークなわけ。 

 

でも心斎橋で働いてた頃とか、もうなぁー、凄まじかった。

視界に入るゴミがあまりにも多いの。

だけん最初はなんつーか、自然薯みたいな感じで、

ゴミが天然自生してんのかなと思ったくらい。

 

あの辺のゴミをいっぺんに全部、道頓堀川に放り込んだとしたら、

大阪湾が広大な埋立地になって、たぶん徳島県あたりまで陸続きになると思う。

淡路島とかは間違いなく埋め立てに巻き込まれて軍艦島みたいになるけど。

 

そもそもポイ捨てできるひとの神経がさっぱり理解できない。

たとえば、飲み終ったビールの空き缶を持ってるとして、

それがゴミだって分かってるから捨てるんだろうけど、

そこがゴミを捨てていい場じゃないってことは分からんのかな。

いやいやいや、そんなことってあるー?

恋だって分かってるけどどう踏み出していいか分からない、みたいな感じ? 

恋に落ちる前に落としたゴミ拾えっての、ばか。

 

あと、煙草の吸殻を捨てるのはね、個人的にだけど、まだギリギリ許せるの。

だってあれ紙と草だし、四捨五入したらほとんど自然みたいなもんじゃん。

たぶん速攻で土に還るじゃん。

まぁ、そうは言ってもマナー違反だし、わたしは絶対やらないけど、ギリ許せるの。 

 

でもね、ビンとかカンとか、あとはガムとか、ああいうのは絶対ダメじゃん。

あれは自然じゃないじゃん。不自然じゃん。

アルミとかスチールとか、化学反応で人工的に無理矢理作り出されたものだし。

もうね、ガムなんか論外なわけ。

世界中のひとが一斉に道にガムを吐いたら、地球が一個のチューインガムになるよ。

ガムの惑星ジェネシスになるよ。

それくらいの危機感、持っとこうよ。

 

心斎橋のひっかけ橋~宗右衛門町らへんを歩いてるとね、

ほんと、ここがポイ捨て発祥の地なんじゃないのって思うくらい、

いっそ禍々しいくらいゴミまみれだし、

もうね、耳をすますと、ゴミの声が聞こえてくるから。

 

カン「あー、俺ら、捨てられてからどのくらい経ったっけ」

ビン「どうだろ、軽く半日くらいかなぁ」

ペットボトル「全然じゃん、俺、4日目。しかも時々ドリブルされる」

カン「うわぁー、それヤだなー」

ペットボトル「文字通り踏んだり蹴ったり。しかもキャップ締めすぎで頭痛ぇ」

 

ビン「つーか、夜は結構、冷えるよなー。自販機の中のほうがマシだったかも」

カン「俺、あったか~い出身だからなー、寒いのは堪えるなぁー」

ペットボトル「…君らさぁ、来世は何になりたいなーとか、あるの?」

カン「俺、車になりたいなぁって思ってます。親父も昔、レクサスやってたらしいし」

ビン「えー!すっげー!車とか憧れるわー、俺なんか先祖代々ビール瓶だしなー」

 

カン「いやいや、ビンはフロントガラスになってさ、俺と一緒に車やろうぜ!」

ビン「ま、まじすかー!やべぇ、なんかテンション上がってきた!」

ペットボトル「……」

カン「車、絶対楽しいぜー!じゃあ、ペットボトル兄さんはワイパーで!」

 

ペットボトル「…でもなー、結局、ゴミ箱に捨ててもらわないとなー…」

ビン「いや、分かってますよ!リサイクルされないってことは分かってますよ!」

カン「うん…でも、やっぱ夢、見たいじゃないすか。カンに生まれたからには」

ペットボトル「いつまでこのままなんだろ…寒いよ…キャップ締めすぎで頭痛いよ…」

ビン・カン「………。」

 

わたしはね、警鐘を鳴らしたい。

ブブゼラみたく、大音声で鳴らしたい。

路傍のビンやカンやペットボトルの声に、耳を傾けてみてほしい。

ひいては土壌汚染や人口と資源の不均衡の解消について、一計を案じてみてほしい。

 

つーかもう、結局何が言いたいかってね、

落ちてるゴミを拾えとは言わない。

心斎橋みたいなゴミの特産地だってあることだし。

だけど、だからこそ、せめて、

ゴミを道にポイポイポイポイ捨てるのだけはやめよう!!

ってことに尽きるです。はい。