バードストライク!

 

かなりホットな話題なぁけど。

ついさっきだし。

 

まぁ、これは知ってるひとも少ないと思うんだけど。

ご存じない方も大勢いらっしゃることと思うだけど。

お店の名前くらいは聞いたことくらいはあるよーってひとはいるはず。

 

ほっかほっか亭っていうんだけどね?

 

すげぇんだ。ほか弁。

お金払うだけでね、一食まかなえる。お金払うだけで、お弁当食べれちゃう。

平均して600円くらい出せばね、食事にありつけるってさ、衝撃じゃない?

すごくない?今まであった?そんなコンシェルジュ。びびるよね。

 

わたし、基本自炊してるんだけどさ。

どうしても疲れてて、とか。今日はがっつり食べたいなぁ、とか、あるじゃないすか。

そういうお客様のニーズにね、全力で応えてくる。ほか弁。

 

大阪に来てからというもの、けっこう行ってて。入り浸ってて。

店員さんが全員女性でね、その店員のおばちゃんらともかなり打ち解けてて。

おばちゃんら、みんなかわいいし、めちゃめちゃ居心地いい。

 

あのほか弁で万が一にも火災が起きたとしたら、

真っ先に水被って逃げそびれたおばちゃんらのレスキューに突入したいくらいの愛。

キャバ嬢であるわたしが憩えるキャバクラがあるとするならば、あのほか弁をおいて他にない。

ここ一番にほか弁。

 

今日は始発で帰ってきてから、なんかだるくって。

朝ごはん作る気分にもなれんくって。

どうしようなぁーって考えた。困ったなー、つって。

でもね、もう答えは決まってんだー。

ここ一番に、ほか弁。

突入決定。

 

お店までの行きしな、色んなこと考えた。

おばちゃんに会ったらなんて言おー。

やっぱ無難に「今日も忙しそうですねぇー」とかかなぁー。

踏み入って「この前言ってた柳井さん家の三世帯住宅の話、どうなった?」とかかなぁー。

朝だけどちょっとコーヒーブレイクな感じで。あくまでフランクな感じで。

おばちゃんとのベストな会話の切り口、模索してた。

到着するまでは。

 

おじさんがいた。

ピンで。

30~40代くらいの、痩せてて天パの、背の高い鼻の低いおじさん。

 

新キャラがくると思ってなかったから。

驚きもひとしお。

しかもおじさん、ずっと無言無表情。

 

こっちがオーダー言うのを、虎視眈々と、待ってる。沈黙、守ってる。

ほっといたら永遠に見つめあえるんじゃないかってくらいの静寂無感情。

 

人造人間かと思った。

喜怒哀楽の全部が摘み取られてた。

新芽すらない。

 

ほんとに何も言わないから、ぱっぱと注文した。

「えっと、のり弁当、ひとつ」と恐る恐る、しかしはっきりと告げた。

怖かったからお会計もササッと済ませた。

おじさん、意外と澄んだ声してて、余計に恐怖を煽られた。

オカマで合唱団作ったら、あのおじさんはソプラノ当確。

 

出来上がるまで時間があるっぽかったから、近くのファミマへ。

クリアアサヒのロング缶をふたつ買ってすぐ、のり弁を取りに戻った。

早く帰って、のり弁食べよと思ってた。

到着するまでは。

 

店先で、オカマのソプラノ、言いました。

「お待たせしました。とりめしデラックスです」

 

と り め し デ ラ ッ ク ス

 

とりめしデラックスが出てきちゃった!

のり弁当にオファーしたつもりが、痛恨のとりめしデラックスさんスタジオ入り。

ADもわたしも大慌て。

 

「海苔」と「鳥」を聞き違えた史上最大規模の事件。

百歩譲ってそこは許したとして、そのあとデラックスと続いちゃってるからさ。

「のり弁当」と「とりめし弁当」の取り違えはまだギリわかるけどさ。

デラックスであきらかに一回、国境隔てちゃってるからさ。

デラックス級の悪ふざけ感。

 

「とりめしデラックス・・・?」って思わず首を傾げた。

「ええ、それでお会計してますけど」とまるで動じないおじさん。

 

でもそこで、考えた。

「わたし頼んだの、のり弁ですけど」っていま言い出すのは無理だろ、と。

仮にもデラックスで張り切って国境またいじゃった身としては。

今さら海苔のお弁当ですって訂正するのはね、恥ずかしい。

 

予測できる最悪の事態として、何かの間違いで、追加でのり弁当を作らせた挙句、

「お詫びにとりめしデラックスもどうぞ!返金も致しやす!ビバ完全降伏!お控えなすって!」

みたいなノリに向こうが相なったとしたらと思うと、それはそれで本意でない。

 

おじさんにも悪いし。

このおじさんが後々いつものおばちゃんらに話したりして、

わたしが変に思われたり笑われたりする二次被害は完全に本意でない。

 

あのおばちゃんらに

「あの、いつも来る金髪の女の子いるじゃない?

あの子わたしらがいないときに、うちのダーリンにいちゃもんつけ倒したんだって。

お育ちが悪いわ。ストリートチルドレンなんじゃない?」

と言われるのはさすがに心外だ。

 

そこはね。

大人な対応を見せたよ。

家までの帰り道でね、これ書きはじめて、帰宅と同時に書き終えた。

もう眠いのなんの。

 

そんなわけで、これからあったかいとりめしデラックス。

いただきます。感謝。